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ロボットにキャラクター性を


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 人とロボットが共に暮らす。

この世界で彼らが、人間と同じように、歩き、聞き、話す。そんな世界が、現実味を帯びてきたようだ。

 私がこれまで知っていたのは、TVやCMでよく見かけるペッパーや、マツコロイドくらいだった。だが、既に実用化が進んでいるロボットたちもいるらしい。フランスのNao(http://www.ambafrance-jp.org/article4306)や、介護ロボットRIBA(http://rtc.nagoya.riken.jp/RIBA/)などだ。
知らないうちに、世界ではたくさんの"仲間たち"が生まれていたようだ。


接客したり、介護したりするロボットたち。日本は高齢化社会が進んで人手不足が確実なものになっているから、こうしたロボットが増えるのは喜ばしいことだ。
ただ、そうしたロボットたちが完成したら、すぐに普及して、あちこちロボットだらけになるかと言われれば、そう上手くは行かないのが現状だろう。それはコスト面の問題だけではない。

 例えば、お店に買い物に行くと、ロボットが「イラッシャイマセ、ナニヲオサガシデスカ?」と言って欲しいものを出してくれる。朝、目を覚ますとロボットが動きだし、ベッドから起き上がるのを手伝いに来てくれる。便利な世の中だなと感じる。
でも、どんなに上手く対応ができても、温度調節で肌に感じる温もりを持ったとしても、それらの行動を、ロボットが行なった機械的な動作以上に感じるのは難しい。温かみがないのだ。

 人とコミュニケーションをとるために作られるような、ペット感覚のロボットも同様だ。店頭でロボットがダンスを踊るのを見ると、すごい、かわいい、となるが、それらが実際に家庭に届いたとき、何回も再現しようとする人は、どれだけいるだろうか。もしくは、1ヶ月後、同じような情熱を持って遊ぶ人がどれほどいるだろう。

 では、何が必要なのか。温かさ、親しみやすさ、愛着。それらはどこから来るのだろう。


 そんなとき、この子と出会った。そう、BB -8だ!!
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© & ™ Lucasfilm Ltd.
 この商品を見たとき、思わず「欲しい!」と思ってしまった。私はスター・ウォーズファンではないから、とても不思議だ。
 彼をスマートフォンで操作すると、ちょこちょこと忙しく動き回る。速度を出して走らせようとすると、頭が前に傾いて、がんばって走っているように見える。ときに首をクルクル回す動作をしたり、障害物に引っかかって動けなくなったりするのがとても愛らしく、(ドロイドにこの表現は適切ではないが)生きているかのように感じられるのだ。こんな子が家にいたら楽しい。

 実際、この商品は、従来からあるラジコンと変わりない。だが、キャラクターを忠実に再現しており、まるで本物のBB-8がそこにいるかのように思わせるのだ。すぐに止まれないというような不完全な動作でさえ、キャラクター性とマッチして、より愛着を湧かせる要因となっている。このロボットには性格があって、彼なりの意思を持っているかのように見えるのだ。

 人間とロボットが暮らしていく上で、愛着が出るというのはとても重要なことだと思った。それを引き出すため、ロボットにキャラクター性をもたせることは、近道になるのではないか。


そして、キャラクター性に関して言えば、ディズニーの右に出るものはいないだろう。プリンセスやプリンスはもちろん、動物や車やモンスターまで、みんなに愛されるキャラクターを創り出している。しかも、それぞれが個性的で唯一無二なのだ。
 キャラクター性を確立する秘訣は、恐らく綿密なキャラクター設定と、それに基づいた動作にあるのだろう。
 例えば人間以外のキャラクターに関して言えば、基本は人間の言葉を話すとしても、細かいちょっとした動作で、動物やロボットらしさを同時に表現している。(「ズートピア」に出てくるウサギのジュディは、2本足で歩いて人間の言葉をしゃべるが、嬉しいことがあると耳をピンッと立てるし、よく鼻を動かすので、ウサギらしくてかわいい。)全て緻密に計算された動きなのだ。


 ペッパーは、自由な動作を組み込めるよう、あえてキャラクター性を持たせていないと聞いた。同じように、今キャラクター性を確立しているロボットは少ない。(マツコロイドくらいだろうか。Siriも少しそれに近い気がする。)

だが、人間がロボットと共に暮らして行くには、やはり愛着が必要だと思う。そのためには、BB-8のように、ロボットにも何かしらのキャラクター性を持たせた方が良いのではないか。その方が、より愛着が湧き、生活に馴染みやすいのではないか。
 隅々まで考えられた動きをする、キャラクター性が確立されたロボットがいてもいいと思う。むしろ業界は、もっと力を入れて挑戦してみるべきてはないだろうか。