ITで児童虐待対策を-朝日新聞デジタル「小さないのち」
心が痛む記事を読んだ。朝日新聞デジタル「小さないのち」からだ。
(育児に息詰まった母親が、橋から子どもを落とし死亡させた事件。)
救われない話だ。
もちろん、女の子を殺してしまった母親は悪いが、母親だけの責任だろうか。そうでないなら誰の?わからない。
そのうえ、勤務年数は40%が3年未満と短い。
記事では児童相談所職員の専門性の不足を指摘している。
職員の増員、24時間対応の相談窓口の設置など、対策をしている自治体もあるそうだが、予算の関係で、全ての地域で同じように対策をするのは難しいのだろう。だからといって児童虐待は、放置できる問題ではない。
児童虐待の発見・対策に、IT技術を活用できないのだろうか。
今回でいうと、記事で指摘されている専門性、という面を、AIによってカバーできないか。
例えば、医療の現場では、IBMのWatsonが膨大な医学論文のデータから学習し、患者の正確な病名を割り出した。
同じようなことを、児相や地方自治体でも行うのだ。
(とてもデリケートな部分だと思うが、ビックデータとして使うなら匿名データで十分だ)。
そうした多くの情報からAIを学習させ、
家族構成や、子どもの怪我の状況、相談の頻度や内容、時間帯等から判断して
「この人は特に注意が必要」という人を示させる。
職員は、要注意と示された人とは、必ず面談することを義務付けるなどし、情報を保育所とも共有、見守る体制を作る。
もちろん、全てを機械任せにするのではなく、あくまで人間を補助する役割として活用することが大切だ。
ある程度の経験者からすれば、“この子は虐待されている可能性が高い”というラインを、経験の浅い職員にも見極められるようにするのが目的だ。
また、ここまでいかなくとも、
こんな記事があった。
記事を見て、そもそもあまり関連機関で連携が取れていないのかもしれない、と感じた。
個人情報との兼ね合いもあり、難しい部分が大きいかもしれないが、やってみる価値はある。
出欠とともに、もし少しでも気づいたことがあれば、入力する。
ただ、保育士不足が嘆かれるなか、そんな手間のかかることはできないかもしれない。その場合、「元気がない:😐」「怪我がある:😫」など、簡易なマークで、マイナスな状態のみをチェックするようにする。
朝のチェックを保育士に、帰りのチェックを親に、と分けてもいい。
そうすれば、親にとっては保育所での状態を、保育士にとっては家での状態をチェックできる。
たとえ虐待がない場合でも、子どもの健康チェックとして活用すればいい。
それらのデータを、集約し、自動的に検証できるようにする。
例えば、“月に4回以上新しい怪我をし、かつ親が数年以内に離婚または再婚している場合は、要注意”のような形だ。
(もしAIを活用できるのであれば、前述した論文やビックデータからの“学習・検証”を行う。)
結果、要注意の傾向が強ければ、児相や地方自治体に確認要請が行くようにする。
毎日顔を合わせる保育士が、子どもの怪我を虐待とは思わず、児相や警察にに連絡しなかった例は多数ある。
このことから、保育士が虐待を判断するのにも専門性が必要だが、このシステムなら、それを補うこともできるだろう。
また、もしかしたら、保育士が、外部に危険を知らせる「手続き」自体が、ハードルを上げているのかもしれない。
毎日健康チェックのようにデータを入力するシステムであれば、保育士の心理的なハードルも下げることができると思う。
実際に受話器を取るのには勇気がいるが、
毎日😣マークをタップするだけならできる人は多いだろう。
“サインに気付けなかった”。
同様の事件では、何度も繰り返し言われている言葉だ。
ならば、そうならないシステム作りを早急に作る必要があるのではないだろうか。