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ITで児童虐待対策を-朝日新聞デジタル「小さないのち」

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心が痛む記事を読んだ。朝日新聞デジタル「小さないのち」からだ。

(育児に息詰まった母親が、橋から子どもを落とし死亡させた事件。)


救われない話だ。
もちろん、女の子を殺してしまった母親は悪いが、母親だけの責任だろうか。そうでないなら誰の?わからない。

記事によれば、児童相談所は全国に209カ所。2015年度に全国の児相が対応した虐待件数は、10万件超(10年間で約3倍に増加)にも関わらず、児童福祉司は約1.5倍の増加しかないそうだ。
そのうえ、勤務年数は40%が3年未満と短い。
記事では児童相談所職員の専門性の不足を指摘している。

職員の増員、24時間対応の相談窓口の設置など、対策をしている自治体もあるそうだが、予算の関係で、全ての地域で同じように対策をするのは難しいのだろう。だからといって児童虐待は、放置できる問題ではない。


児童虐待の発見・対策に、IT技術を活用できないのだろうか。
今回でいうと、記事で指摘されている専門性、という面を、AIによってカバーできないか。

例えば、医療の現場では、IBMのWatsonが膨大な医学論文のデータから学習し、患者の正確な病名を割り出した。

同じようなことを、児相や地方自治体でも行うのだ。

例えば、過去起こった同様の事件の検証報告書や児童虐待についての論文の検証・学習に加え、地方自治体や児相に寄せられる相談の内容を電子化し、ビックデータとして活用する。
(とてもデリケートな部分だと思うが、ビックデータとして使うなら匿名データで十分だ)。

そうした多くの情報からAIを学習させ、
家族構成や、子どもの怪我の状況、相談の頻度や内容、時間帯等から判断して
「この人は特に注意が必要」という人を示させる。
職員は、要注意と示された人とは、必ず面談することを義務付けるなどし、情報を保育所とも共有、見守る体制を作る。

もちろん、全てを機械任せにするのではなく、あくまで人間を補助する役割として活用することが大切だ。
ある程度の経験者からすれば、“この子は虐待されている可能性が高い”というラインを、経験の浅い職員にも見極められるようにするのが目的だ。


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また、ここまでいかなくとも、
データによって、保育所地方自治体、児童相談所をつなぐことがでことができれば、防げる事件もあるかもしれない。

こんな記事があった。


このケースでは、保育所が子どものアザに気付き、児相が一時預かりを実施したが、次の新しい保育所ではアザを日常の怪我だと判断したため、市に知らせることはなかった。その後、子どもは虐待により死亡した。

記事を見て、そもそもあまり関連機関で連携が取れていないのかもしれない、と感じた。
そうであれば、保育所地方自治体、児童相談所、これらの間でもっと連携が取れれば、異変に気付きやすくなるのではないか。

個人情報との兼ね合いもあり、難しい部分が大きいかもしれないが、やってみる価値はある。


例えば、朝と帰り、子どもが保育所に来た時に、タブレット端末に子どもの状態を打ち込むようにするのはどうだろう。病院の電子カルテのようなイメージだ。
出欠とともに、もし少しでも気づいたことがあれば、入力する。

ただ、保育士不足が嘆かれるなか、そんな手間のかかることはできないかもしれない。その場合、「元気がない:?」「怪我がある:?」など、簡易なマークで、マイナスな状態のみをチェックするようにする。

朝のチェックを保育士に、帰りのチェックを親に、と分けてもいい。
そうすれば、親にとっては保育所での状態を、保育士にとっては家での状態をチェックできる。
たとえ虐待がない場合でも、子どもの健康チェックとして活用すればいい。


それらのデータを、集約し、自動的に検証できるようにする。
例えば、“月に4回以上新しい怪我をし、かつ親が数年以内に離婚または再婚している場合は、要注意”のような形だ。
(もしAIを活用できるのであれば、前述した論文やビックデータからの“学習・検証”を行う。)

結果、要注意の傾向が強ければ、児相や地方自治体に確認要請が行くようにする。
逆に児相や地方自治体宛に、親や周辺の人から相談があった場合は、データとして入力し、実際に子どもを預かる保育所でも情報を見れるようにする。


毎日顔を合わせる保育士が、子どもの怪我を虐待とは思わず、児相や警察にに連絡しなかった例は多数ある。
このことから、保育士が虐待を判断するのにも専門性が必要だが、このシステムなら、それを補うこともできるだろう。


また、もしかしたら、保育士が、外部に危険を知らせる「手続き」自体が、ハードルを上げているのかもしれない。

児童相談所に連絡すれば、そこから親に連絡が行く。もし間違いだったら、保育士にとっても、保育所にとっても大変な事態だ。

毎日健康チェックのようにデータを入力するシステムであれば、保育士の心理的なハードルも下げることができると思う。
実際に受話器を取るのには勇気がいるが、
毎日?マークをタップするだけならできる人は多いだろう。


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“サインに気付けなかった”。
同様の事件では、何度も繰り返し言われている言葉だ。
ならば、そうならないシステム作りを早急に作る必要があるのではないだろうか。